『 赤単とスイスを語る〜 Slow Life &Slow Food 〜』
                           
      

明海大学名誉教授 歯学博士 
骨の健康づくり委員会 世話人
  久米川 正好
プロフィール
 
 

 赤単が家族とともに1年半振りに正月束の間の休暇を日本で過ごした。大変忙しい中、時間を割いてもらい、スイスについて伺った。詳細は今後のスイス便り譲るとして、2、3の話題をお伝えしたい。

 赤単はまだ若いが、外資系企業に派遣され、あるプロジェクトにアナリストとして参加いるとのこと。スイスでは適任であれば、職種を越え、外国人(スイス在住の外国人20数%)でも、また女性であってもプロジェクトに参加、時にはリーダーとしても活躍できる。これは教育制度を初めてとするスイスの文化に因るらしい。奥さんが活躍している時期はご主人が家庭を守り、ご主人が忙しくなると奥さんが家庭の面倒をみる。いわゆる(夫婦)の時期もあり、またある時期は(婦夫)となり、仕事と家庭をうまく両立しているケースも多いと聞く。


 スイスでは出身大学より、大学時代、何を学び何を習得し、何が出来るかがすべてであると。スイスには10州立大学と2連邦大学があるが、大学への進学率は決して高くなく、30%弱とヨーロッパでも低い方である。しかし、教育水準が決して低いわけではなさそうだ。普通科への進学は低いのである。他の学生は職業教育を高校時代から受け、自分に適した技術を習得、資格を得てそれぞれの分野で活躍できる仕組みが定着している。これは生徒のすみ分けが小学校時代(6年)からのきめ細かく、やさしい教育によるようである。小学校のクラスはなんと20人弱。この時代から中学校にかけてじっくりと親子、先生が三味一体となって子供の将来を考えているように思われる。小、中学校は義務教育であり、市町村が主体となって個々の子供の教育を考えている。しかし、州内でばらばらにならないよう常に調整が行われているとのこと。私立学校は2%程度で、また塾なども無い。日本の様にぎすぎすした毎日でなく、のんびりと優しい環境が子供の成長には大切なことかもしれない。
 

 もう一点、今、日本で崩壊しつつある家庭とコミュニテイが、スイスでは立派に機能しているとのこと。四方を山に囲まれた九州ぐらいの国でベルン、バーゼルなど4つの都市が中心である小さい国。多分30,40km以内の場所で親子は生活でき、常に交流している。週末は金をかけることなく家族で、また隣人と楽しみ、生活をエンジョイしている様である。健康には留意し、運動はよくするが、日本のように健康食品を店頭であまり見ることはないとのこと。せいぜいサプリメント程度であり、すべてがごく自然に動いている、いわゆるSlow Life&Slow Foodの国スイス。しかもライフラインはほとんど国営である。民間で出来ることは民間でと経済最優先の国、日本とは大いに異なる。人口は750万人位であるが、しかし、1人当たりのGDPは世界3位と日本より高いスイス。

 先日、NHKのドキュメンタリで、世界的な免疫学者多田先生の病魔からの再生記録が放映された。その中でお弟子さんに(寛容な研究、人に優しい研究を、もしこの意味の理解できない人は反対を考えてみてはと。それは、ぎすぎすした研究、結果のみを求めた研究、1年遅れて駄目なものは元々とるに足らないものであるから)と述べておられた。この重い言葉は研究の分野のみならず、政治、経済、企業のあらゆる分野で考えられるべきことであろう。