耳よりな話トピック
健康づくりを骨から始めましょう
執筆予定者バックナンバー

医者と警察 白木 正孝
チーズづくりと健康 〜チーズ研究所を訪ねて〜 骨の健康づくり委員会

『医者と警察』

成人病診療研究所 所長
白木 正孝

 開業医をやっておりますと、病気と正常の境目あたりの患者さんによくお目にかかります。曰く「あちこちいたい」「胃の存在が気になる」「朝の目覚めの時、フワーとする」などなど、その訴えは多岐に渡り、はたして真面目に対応して投薬すべきかどうか迷うこともしばしばです。保険医療費のことなんかも多少頭をかすめますしね。このような病気ともいえない状況を最近では「未病」と呼ぶ向きもあるようです。この「未病」の行く末がどうなるのかが判っていない為、どのように対処していいかが判らないという問題が浮かび上がってきました。

 本日は同じ未病でもちょうど深刻さが強い患者さんがみえました。年のころ30歳代後半の女性です。数年前から手や足の抹消部分が赤くはれ上がり、激しい疼痛を覚え夜も寝られない程です。数週間すると赤くはれた部分の皮膚が白く変色してベロッとむけて治るということをくり返しています。皮膚科、整形外科、内科は言うに及ばず、大学病院へ行ってみましたが、どの先生も口をそろえて「何ともない」「検査は正常だ」「レントゲンで骨は正常だ」ととりあってくれず、あげくのはてに「精神的なものだ」といいだす先生もいます。困りはてて、心配で仕方なく私のところにみえました。結局は自己免疫性血管炎の亜型だと思うのですが、考えさせられるのは、やはりこのような病気の診断基準に合致しない患者さんのとりあつかいです。現実に症状のある患者さんに対して、「何ともありません」は全く安心できない言葉であって、まだしも「判りません。もう少し様子をみていると判るようになるかも知れませんから通ってください」の方が、はるかに親切な対応というべきでしょう。

 現代の医療ではやたらと「診断基準」やら「事実に基づいた医療:EBM」がもてはやされています。しかし、診断基準やEBMの枠におさまらない患者さんの切りすてにつながってしまう場合も多々見られます。患者さんの問題に対して診断基準をたてにとって逃げてしまうのは、ちょうど掛川ストーカー殺人事件の初期における警察の対応と同じというべきでしょう。あちらは法律と前例を持って「未事件」の被害者を切り捨て、こちらは診断基準を持って「未病」の患者さんを切りすてているという訳です。気をつけたいものです。

しらき まさたか

1972年 東京慈恵会医科大学卒業。
翌1973年から東京都老人医療センター内科、内分泌科スタッフとして勤務。
1978年 医学博士となり、1982年 米国国立老化研究所留学。
1986年 東京都老人医療センター研究検査科長。
1992年 成人病診療研究所を設立し、所長を務められる。
専門は内科、内分泌科、老年病、カルシウム代謝、骨粗鬆症である。

 

チーズ作りと健康
〜チーズ研究所を訪ねて〜

 
骨の健康づくり委員会

 この春、山梨の小淵沢から骨の健康づくり委員会にチーズが届けられました。そこで、早速、仕事仲間を招き、ワインを片手にこのチーズの賞味の集いが始まりました。彼等の第一声は「これは日本のチーズ?」「どこで作られているの?」「どこから手に入るの?」などでありました。さわやかで、まろやかで、まさに日本人にあったチーズでした。とくに外国のものとは味を異にしたブルーチーズは絶品でありました。その後、何人かの知り合いにお贈りしたところ、「これぞ本物のチーズですね。とにかく言葉では言い尽くせません。」などチーズ党からの手紙やメールが寄せられました。そこで、このチーズはどんな所で、どのような人たちが、どのように作っているのかと思い、早速チーズ研究所を訪ずれ、チーズ作りと匠の関わりを中心に取材をしてきました。
 このトピックスは匠のつくりあげた本物のチーズにまつわる高原のめぐみ物語の始まりです。今後この研究所のホームページを立ち上げ、ここで作られるチーズにまつわる物語をお届けできればと考えています。*

 このチーズ研究所は、八ヶ岳の麓、南アルプスを間近に臨む高原“小淵沢”にあります。豊かな自然に恵まれたこの地は、気候・風土ともにチーズ作りに最適!世界中のチーズを研究し、日本人の嗜好に合った国産ナチュラルチーズの製法技術の導入と開発、その普及啓蒙活動を目指して、1979年、このチーズ研究所は開設されました。最近、その研究所内に小淵沢チーズ工房が設立され、所内の見学、試食と販売コーナーが設けられ、ナチュラルチーズ愛好家の話題を呼んでいます。

 当日、私たちを出迎えてくれたのは、チーズ研究所の所長と匠とその仲間。チーズ作り30年の匠は北海道へ出張中との事で、少々残念ですけれど、3人の匠からお話を伺いました。



: 日本人の嗜好にあったナチュラルチーズの生産には、長年のご苦労があったと思 います。しかし、こういった知識と技術だけでなく、ナチュラルチーズ作りには人 のかかわる部分が大変多いと思います。皆様は毎日どういうお仕事を、そして人手に頼らないとできない点は?
■Aさん.そうですね。まず、素材選びですね。清里の高原の牧場から選び抜いた牛乳を使っています。まず牛乳に乳酸菌とレンネットを加え固めます。牛乳の成分や脂肪分の違い、植えつける菌などによりさまざまタイプのチーズが出来上がります。
これらについてのある程度のデーターはあります。しかし最後の決め手、
これは長年つちかってきた経験といううか感性によります。たとえば加える塩分量、レンネット加えてから固めるまでの時間、さらに食感、舌触りなどは実践から学んでいきます。とくにチェダーは発酵させてpH5.2ぐらいまで落としますが、適格な発酵時間は人でないとだめですね。また、牛乳の匂いを嗅いだり味見をするのも人ですよね。
■Bさん.また作っているチーズによっては、手の感触で水分を見極めるために手の状態に一番気を使います。



:触角も大切なんですね。出来具合を見るためには、当然視覚も重要でしょうね。本物のチーズを作るためには、人の感覚が大切であることがよく分かりました。チーズ作りに必要な感覚というか感性にはまず健康が大切ですよね。では皆さんはご自分の健康に何か気を使っていることがありますか? Bさんはいかがでしょうか?
■Bさん.風邪を引きやすかったので、良く食べ、よく寝ることにしています。あと手を傷つけないようにしています。


:Cさんはとくにどういった点に気を使っておられますか?
■Cさん.私はスポーツ、バレーボールですね。体力には自身がありますが、風邪をひいたら軽いうちに病院に行って長引かせないようにしています。あと、水分を沢山取るようにしています。朝コップに2〜3杯と休み時間に多めにとるようにはしています。


:なるほど、健康のために十分な水分をとるということはよく聞きますね。これを毎日実行されているのですね。では、Aさんはいかがでしょうか?

■Aさん.以前は東京近郊の研究所で働いていました。この都会の雑踏から開放され、八ヶ岳山麓の自然を楽しんでいます。とにかくよく歩くようになりました。また、チーズを作っていると体を動かしますしね。職業柄、本物のチーズをよく食べるようになりました。これも健康につながっているのかもと思います。


:ところで、本物のチーズ作りのため健康に留意され、毎日大変ご苦労されていることはよく分かりました。そこで、最後に匠の皆さんにお聞きしたいのですが、皆さんにとってチーズ作りとはなんでしょうか?

■Bさん.最初は包装室の仕事に入り、与えられた仕事をやればよかったのですが、6年前、年が明けたら製造に異動になりました。結果が数字ではっきり出てくるので、いやでいやでしょうがない毎日でした。これからはチーズ作りという大変な仕事にかかわるのかと思うと、針のむしろの毎日で、眠れない日も続きました。しかし今は楽しくチーズ作りを続けています。教わる事以外に自分で人の仕事の良いところを見つけて、自分のものにしていく楽しみ、とにかく、美味しいチーズを皆さんに食べて欲しいですね。


:チーズ作りにかける情熱でしょうか。Cさんはいかがでしょうか?

■Cさん.最初はプレッシャーで眠れなかったこともありました。今は自分の日々の進歩と周りの評価が楽しみです。初めてやるものがちゃんとできた時には嬉しいですね。与えられた仕事をやっているだけでなく自分が主にならなくてははならないし、新しい事をまた覚え工夫していくというのが楽しみです。今は「やったな!」と自分を誉めてやりたいです。


:有森さんの気持ちですね。では最後にAさんはいかがでしょうか?

■Aさん.チーズ作りは以前から好きでした。そこで本とかを読んで作り方はある程度知っていました。しかし、この工房に来て実際チーズを作ってみますと、本の通りにはい かない、思うようにならない、と本当に実感しています。本物のチーズを作りたい。そして皆さんにチーズを味わい楽しんでいただきたいと毎日励んでいます。


:今日は長時間にわたり、貴重なお話ありがとうございました。日本人嗜好に合った本物のチーズを多くの人々が求めています。この人たちの要望に答えて、がんばってください。


おいしいチーズを自分たちは作るのだという使命感が、チーズ作りは“健康と心が大切”をモットーにしているようです。
ここでのチーズ作りはシステム化された製法によるのではなく、自然の中で作られ、そして心をもった人によって作られていることが伝わってくるとても素敵な工房でした。そういった環境で、人に愛される本物のチーズが作られているのだと思いました。
匠たちが誇りを持ち、使命を持って製造されるチーズを皆さんも味わってみてはいかがでしょうか?

(このナチュラルチーズに関するお問い合わせは、〜電話0551-36-3851~または骨の健康づくり委員会まで)

*小淵沢チーズ工房のホームページができました(2003年11月)ぜひ御覧下さい

編集:骨の健康作り委員会
 久米川正好