骨粗鬆症の予防・治療として、バランスの良い食事・日光浴とともに運動が大切であると言われています。
運動種目としては、自分の体重を負荷した運動を日常的に取り入れ、継続的に行うことが大切です。
ここでご紹介する“温水プール浴”は、体の関節に無理な力がかからず、それでいて充分な運動になりますので、高齢者にとってもっともふさわしい運動といえます。


楽しく生き生き温水プール浴

 
温水プール浴ってなあに!!

温水プール浴は、水中運動の一つ
泳ぎを主な目的としない中高齢者向け運動法であり、1985年に医学博士後藤重彌先生が提唱し、(財)スポーツ会館の温水プールの中で産声をあげました。
他人の介助不要で日常生活行動〔Active Daily Life=ADL(洗面、着脱衣、食事、排泄、入浴、散歩など)〕のできる人なら誰でも参加できます。

温水プール浴の特徴
“水温29℃”なので高齢者には適温で、血行がよくなり、自律神経の働き・調節機能を活性化させます。また、温水での運動後は大変快く、体がポカポカし気分もゆったりします。
“水の浮力”が体重を支えるので、地上では苦痛が伴う体の動きもかなり楽に出来ます。
肥満の方でも体を動かしやすく、浮くことにより全身の力を抜いてリラックスできます。
また、横に浮くと心臓と手足が水平に近くなり、血液がスムーズに流れ新陳代謝を促します。
“水の圧力”によって、全身の筋力が柔らかく抵抗し、意識的に筋肉を使わなくても適度な刺激が受けられます。水に出たり入ったりすると、水中で圧迫された血管は水上では解放され、その刺激が血管の活性化を促します。
“水の抵抗”によって、陸上よりも高い運動効果として、筋力アップ・短時間でのエネルギー消費が得られます。また、瞬発的な激しい運動にならないこと、体の動かし方の強弱をコントロールして、自分に合った適度な運動をすることもできます。
運動によって生じる“水流”が、肌にマッサージ効果を与え毛細血管を刺激し美容効果をもたらします。
全身が“水に支えられて”動くので、怪我や故障が少ないという利点があります。

 
温水プール浴の魅力
身体的生理的プラス効果と同時に心理的精神的効果が期待できます。
水着以外は生まれたままの姿で温水に入ると、母の胎内で“羊水に浸って安心”して浮かんでいた原体験記憶に戻り、何とも言えない解放感が得られ、ストレス解消になります。
体力の衰えで日頃運動機会の少ない高齢者には、日常的に使われていない筋肉を水中でのいろいろな動作で使うことにより快い疲労感が得られ、大きな充足感をもたらします。
温水プール浴は、一人の指導員が通常“20人前後”のグループを受け持ちます。指導理念は《個人差の尊重》で一切無理な競争をさせないので、参加者は文字通り“裸のつき合い”となり屈託ない仲間意識が生まれ、和気あいあいとした雰囲気で、楽しみながら行われます。


温水プール浴の実証的効果と自覚的効果
温水プール浴の運動効果は、医学的や運動生理学的にいろいろ実証データが示されています。中でも日本女子大学名誉教授江澤郁子先生〔骨の健康づくり委員会世話人〕の発表された「骨粗鬆症の予防効果」に関するデータは、温水プール浴を実践している人々に大きな励みとなっています。

一方、温水プール浴を週1回で3ヶ月以上続けて体験している人は、自覚的効果として「肩こり・腰痛に効く」「健康づくりに役立つ」「気分転換に役立つ」などを挙げる人の多さが目立ちます。〔生活習慣研究機構調べ〕
温水プール浴の実際って!!
温水プール浴の実施における基本的構成要素は4つです。
温水プール浴の実際は、次の4つの基本的要素で構成されています。
 
ヘルスチェックには、“プール浴実施の直前・直後の血圧・心拍測定”と“途中の負荷運動測定”があります。健康づくりの運動を目的としているので、参加者本人に「自分の健康は自分で守り保つ」ことを促しています。

水中ストレッチは、無理なく簡単にできる内容の運動で、事前の準備運動や事後の整理運動にもなります。一つ一つの動作の意図を明確にし、体を伸ばす部分をハッキリ自覚させ、正確に行うことが大切です。このストレッチは、自分にとってチョット痛いと感じるところまで行います。  
 
※プール浴実施の動画(1)ウオーミングアップ
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水中エクササイズは、メインカリキュラムで、“歩行、手でかく、足でかく、ジャンプ、それらのコーディネイト動作”などによる運動です。「筋肉トレーニングを目的とするか」「リハビリテーションを目的」によって運動のやり方は多少異なります。 
 
※プール浴実施の動画(2)エクササイズ
このムービーを再生するには、QuickTimeが必要です>
      
リラックスは、単に運動としてだけではなく、水に対する馴れの個人差や初心者・経験者のランクづけを取り外して、お互いに“裸のつき合い”が生まれる雰囲気を心がけます。
  内容には、「レクリエーションゲーム」「ボールゲーム」「フォークダンス」などいろいろあります。参加者の全員が「無理なく、適度に動き、エキサイトして、知らず知らずのうちに水に馴れて、恐怖心がなくなる」ことをねらいとしています。☆温水プール浴のモットーは、《マイペース・楽しく・頭を使う》
参加者(指導員)に対し温水プール浴の指導方針は、「マイペースを守る(守らせる)」「楽しんでする(楽しくさせる)」「頭を使う(頭を使わせる)」の3つのモットーに集約されています。
高齢者にとっての適度な運動は、性・年齢別に平均的な基準はなく、あくまでも個人差を考慮する必要があります。従って、一人一人のマイペースを尊重しています。
運動を生活習慣化するためには、「楽しく気分よく行う」ことが長続きのポイントです。
高齢期の体力は衰えても、それに対して頭脳活動は衰え方が少ないといえます。運動の意味や効用を納得して行えば、その効果はよりアップするでしょう。

出典:「楽しく生き生き温水プール浴」 監修:財団法人日本健康スポーツ連盟
  発行:日本温水プール浴協会
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「シルバー温水プール浴」に参加して
シルバー温水プール浴同好会
世話人 安田 桂子(73歳)
◇「人の身体は浮くより沈む方が難しい」を体験
思い起こせば、50代の後半に温水プール浴同好会に入会したのが始まりで、早や14・5年になります。そんなに長くいても余り進歩が見られない状態にあるので、もう少し頑張らなければと思うこの頃です。年齢を重ねるに従って、疲労しやすくなり耐久力も衰えてきたので、最近では、年相応に自分の体力に合わせて、プール浴を持続して行くべきではないかと思うようになりました。
 入会時は、「60歳以上で泳げない人」が参加の条件でした。でも、水着を着ることの恥ずかしさや水に入ることの抵抗などを考え、入会の決断まで1年以上かかりました。
温水プール浴の指導では、最初は子供用プールを使って水に慣れさせ、徐々に普通のプールを使用するようになりました。指導プログラムが進むに連れて、「人間の身体は、水に簡単に浮上するが、むしろ沈む方が難しい」ことが分かってきたり、また、私たちが水の中を自由に動ける唯一の空間がプールであり、多少は魚の気持ちが分かるような気になります。また、プール浴の楽しさは単に水の中での運動だけでなく、気持ちも若返らせてくれる効果があると気づきました。
◇温水プール浴は「継続は力なり」で、マイペースが大切
 私は、運動・スポーツとして、テニスやマラソンの経験も多少ありますが、それらの陸上の運動とは違い、水の中での運動は、体重に関係なく無理せず楽に身体を動かせる点が優れています。それと同時に泳ぐ楽しさ・素晴らしさを味わえたことは、人生の中でとても幸福に感じています。プール浴が終わった後は、身体が軽くなり気分もさわやかになり、帰りの足取りも軽くなります。
 温水プール浴を続けて14・5年になりますが、60歳を過ぎると人間はそろそろどこかに悪いところが出てきて体調を崩します。60歳半ばに2度の乳がん手術を経験し、それ以降では1回目よりも2回目の方がどんどん体力が落ちてきて、皆のペースについて行けなくなりました。ですから、自分の体調に合わせて、途中でプール浴を休んだりしていますが、「継続は力なり」ということもありますので、水の中の遊びでいいから、気持ちを楽にして続けてゆきたいと思っています。
                
筆者の安田さん
久我山プール浴風景
 初めて、プール浴に参加したときには、「なんとか泳げるようになれたらいい」と思っていました。しかし、続けて100m、200m位泳げるようになりたいという希望は今だに実現していませんが、1年、1年と歳を重ね70代も半ば近くになる私としては、体力の衰えを感じながらも今現在の健康を保っていられるのは、温水プール浴を続けてきたお陰と感謝しております。これからも健康の許す限り、続けてゆきたいと思っております。
〔平成14年12月17日記す〕
 
温水プール浴の問合わせ先は!!

温水プール浴教室の施設の問い合わせ及び関係資料は、「骨の健康づくり委員会」又は生活習慣研究機構にお願いします。
生活習慣研究機構  電話:03−5984−7277 FAX:03−5984−7278
            Email: seiken@sb3.so-net.ne.jp