委員会の活動 健康づくりを骨から始めましょう
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司会(フリーアナウンサー 久保美智代)
: 私は、“世界遺産めぐり”をしており、今までに120箇所を廻ってきました。それらの文化遺産や自然環境を保護・保全することの大切さと大変さを実感しております。そして、そうした保護・保全活動は、心ある企業の社会貢献活動の一環として支えられています。このセミナーの開催は、主催が「骨の健康づくり委員会」ですが、それを雪印乳業(株)が協賛という形で支えております。
    本日の講演は、第一部で井上先生の「今からでも遅くない骨の健康づくり」、第二部で江澤先生の「発育期からの骨づくと骨粗鬆症予防」です。講演終了後には、「骨密度測定会」を行ないます。
講演・:「今からでも遅くない骨の健康づくり」 
浜松医科大学名誉教授 井上哲郎先生
・骨の量が少なくなり、弱くなるのは年とともに誰にも訪れる生理的な現象
講演する井上先生 私どもの体を支え、カルシウムの貯蔵庫の役目している骨は、20歳で最も多く、強く、年とともに少なく、弱くなります。これは私どもにとって避けられない生理現象です。若い人の骨の中央部は網目模様の海綿骨で満たされています。しかし年とともに内部のこの骨は少なくなり、また構造的にも疎になってきます。その結果、骨を内側から支えきれなくなり、骨折が起り易くなります。この状態が高齢化を迎えた今日、社会問題となっている骨粗鬆症です。骨の代謝に女性ホルモンが大きく拘わっています。そのため50歳くらいから急激に女性の骨量が減少するわけです。「女性ホルモンと骨」参照。
骨は生まれた時から硬いまま維持されているのではなく、新陳代謝が行なわれます。
では、どうして骨が減るのかといえば、2つのことが考えられます。その1つは、古い骨は壊されたが、新しくつくるのが間に合わなくて埋められない(老人性骨粗鬆症)。2つ目は、骨を溶かす細胞が骨を溶かし過ぎて、ベースになる骨がないため新しい骨が埋められない(閉経後の女性に多い骨粗鬆症)ということが最近になって解かってきました。
 
・骨粗鬆症の危険因子は生活習慣
骨粗鬆症の危険因子図 では、どうして骨は年とともにどんどん減るのかといえば、これは遺伝的要素が非常に強い(60〜70%)といわれています。おばあさんやお母さんが骨折を起こした人は、気をつけていただきたい。そして、老化も原因の一つです。これは生理的現象で避けられないものです。私たちのできることは生活習慣を改め、危険因子を少なくすることです(図1)
 
・健康寿命を伸ばすには骨折を防ぐことが大切
 骨の減少によって現れる症状や現象をみると、1)身長が縮む 2)背骨が曲がってくる 3)背中が重い・痛い 4)骨折を起こしやすい、などです。この中で一番多いのは、“骨折”です。なお、骨粗鬆症で出る症状として、腰が曲がるといわれますが、そうではなく背骨が曲がるのです。
骨折しやすい部位図 次に、骨折しやすい部位をみると、背骨、脚の付け根(※)、手首の骨、腕の付け根、肋骨(アバラ骨)などが折れやすくなります。中でも、困るのは脚の付け根の骨折です。骨折して寝たきりになることが多くなったといわれています。2001年でみると、寝たきりの原因の1位は脳血管障害で、2位が骨粗鬆症と骨折などとなっています。
では、骨折を防ぐにはどうしたらよいかと言えば、骨は年とともに減って行きますが、若い時に骨量が多ければ多いほど年齢に伴って減ったとしても、骨折するまでに減らさないようにし易いといえます。したがって、若い時に骨の量を増やし、骨が減りやすくなったら減らないように骨づくりをすること、できるだけ骨量を維持する努力が大切です。
 
・骨の量が減少しないよう、毎日の生活で気をつけたいこと「骨粗鬆症の予防」参照。
 バランスのよい食事と運動。もう1点は転倒しないように気をつけることです。
骨折をして運動不足、とくに寝たきりになると大変です。2年間追跡調査して転倒しやすい要因500例を集めた結果で見ると、主なものでは、1)駅の昇降階段で手すりを使わない人は、使う人の3倍くらい転びやすい 2)手足の震えることは2.7倍くらい転びやすい 3)膝の悪い人など2.7倍転びやすい 4)鎮静剤とか睡眠剤などを貰っている人、医者から薬を貰っている人はどういう薬かを聞いた方がよいといえます。骨をいつまでも強く、骨折を防ぎ、輝かしい人生を送りましょう。

 井上先生のお話に、寝たきりの原因の1つとして大腿骨頸部骨折があり、その骨折は年齢と共に増加し、寝たきりの原因で第3位を占めているというお話がありました。
 厚生労働省 長寿科学総合、究事業研究班(主任研究者:荻野浩鳥取大学教授)が、35歳以上の患者約16万人についての症例調査結果が朝日新聞‘03/12/11に掲載されていました。
 その記事を要約しますと、大腿骨頸部骨折は冬場(特に1月)に多く、80代が約半分を占め、女性は男性の約4倍。骨折時の状況では転倒が75%と最も多く、階段や段差の踏み外しは意外に少なくて7.6%であった。介護者によるおむつ交換で“おむつ骨折”もあり90歳以上ではさらにその頻度が高くなったということです。
私達の身体を支えてくれる『骨』をいつまでも大切にしましょう。

<朝日新聞 2003年12月11日夕刊>

マスコット
講演・:「発育期からの骨づくりと骨粗鬆予防」 
日本女子大学名誉教授 江澤郁子先生
 
 皆さんは、生活習慣病として動脈硬化、高血圧、糖尿病、肥満とかいろいろ知っているでしょうが、“骨粗鬆症”も生活習慣病であることは案外と知られていないようです。そして、骨粗鬆症が予防できる生活習慣を営めば、他の生活習慣病も予防することができます。
 
・本来、健康な體(からだ)は「骨が豊か」
江澤先生講演 昔は、「體」(からだ)という字を使っていました。「骨が豊か」なのが身体というわけです。健康な身体づくりとは、骨の豊かな身体をつくることが基本となります。骨は20歳前に急激につくられます。20代・30代に骨量を伸ばし、閉経期から目立って減ってゆきます。今の若者は、20歳前の骨づくりが大事な時に骨づくりができていません。
 このことは子ども自身だけの問題ではなく、親とか学校とか社会が協力して育てて行かなければなりません。これは身体だけでなく心の成長も同じです。
 
・給食終了後の発育期世代に目立つカルシウム不足

   日本人の食生活は、いろいろな栄養素は満たされていますが、カルシウムだけが不足しています。平均所要量は600mgですが、国民栄養調査でみるとそれを達成したことがありません。女性の平均所要量を満たしている人の割合は88%です。ただし、小学校から中学校にかけては学校給食があるので所要量を満たしています。しかし、15歳以上になると給食がなくなり、20代・30代・40代ではかなりカルシウムの摂取が減っています。

 
・牛乳のカルシウムは吸収率が一番高い
 牛乳はカルシウムの摂取に一番良いと言われていますが、なぜ、カルシウムの摂取が大事かをよく理解させて、飲む習慣をつけさせる必要があります。
 カルシウムの腸管からの吸収率を牛乳と小魚などで比較すると、牛乳が最も高い吸収率を示します。なぜかといえば、乳糖があるからです。さらにカルシウムはリンと結合すると吸収されずに排出されてしまいます。牛乳の中の蛋白質の主な成分のカゼインがカルシウムと結合すると、腸管の中でリンとの結合を妨げ、カルシウムを吸収しやすくさせるからです。
 その上、牛乳はタンパク質、脂質、ミネラル(カルシウム・リン)、ビタミンA・Bなどの栄養素が含まれています。つまり、子供が母乳で、牛が牛乳で育つのは、育つための栄養素が万遍なく含まれているからです。「コラム大束櫛部高倉氏ら」参照。
 
・MBPによる骨量の維持増進効果
MBPグラフ 古い骨は壊されて、また、新しい骨に造り替えられます。皆さんは最近、MBP(ミルク・ベーシック・プロティン)という言葉を聴いたことがあると思います。これは塩基性蛋白質のことで、ヨーグルトなどの白い上澄み部分に含まれています。そして、骨芽細胞(骨をつくる働き)を活発化させ、破骨細胞(骨を壊す働き)を抑止する力があります。このMBPを加えた飲料を飲むことによって、骨量が維持されたり増えたりするというデータがあります(図2)
 
・若い頃からシッカリした食生活を築くことが大事
 私たちの身体は、食物から摂り入れたいろいろな栄養素でつくられています。骨にはカルシウムが大事だからといってカルシウムだけ摂ってもダメで、蛋白質やその他の栄養素をバランスよく摂らなければなりません。食生活全体からいえば、大事なのは3度の食事をシッカリと摂ることです。そして、知識も大事ですが、意識して行動できるかが問題です。
 朝食を摂らない女性が多く、とくに20代の女性は4人に1人が朝食抜きです。20代の女性が朝食抜きの習慣をつけると、子育ての時も平気で朝食を抜いてしまうことになります。子供たちは育ち盛りなので、3度の食事では間に合わなく、おやつも必要になります。若い人達は、自分のこと、将来の子供のことを考えて、シッカリした食生活を築かなければなりません。
 
・痩せた人の骨密度は低くなる傾向
 女性の体格を昭和54年と平成10年で比べると、この20年間に痩せている人が増えています。男性は逆に肥満が増えています。男性の肥満は動脈硬化や高脂血症などの生活習慣病に結びつき、女性の痩せは骨粗鬆症に結びつきます。痩せると骨にカルシウムが着きにくくなります。
 痩せるために食べないでよく動く女性もいますが、それではストレスがたまったり、骨の健康にもよくありません。痩せるとしても健康を損なわないようにすることが大事であり、必要な栄養素は摂るようにしなければなりません。
 20代の学生達を対象にして、痩せている人と普通の人に分けた腰椎の骨密度測定結果を比べてみると、痩せた人の骨密度が低くなっています。「シッカリ食べて動いた身体というのは中身も良い」ということになります。
 
・“食育”を大切にする輪を広げよう
 咀嚼力・筋力・骨量などは、高められる時にいかに高め、維持できる時にいかに維持するか、またその力が落ちるのをいかに抑えるか、ということを努力することが大事です。
 無重力状態では、踵の骨が弱くなり、尿中にカルシウムを排出してしまいます。それはカルシウムを吸収しても、無重力なので骨に貯える活性がないためです。運動するからシッカリとした骨をつくって身体を支えようとします。
 子供達がシッカリした身体と心をつくるには、全て食事に影響されています。子供達が楽しく・おいしく・安心して食生活ができる環境(家庭、学校、社会など)をどのようにつくるかが大切です。これからは、知育・体育・徳育とそれに加えて“食育”が大切で、食育とは食生活です。皆さん自身や子供達のことを考えて、「よりよい食習慣をつくるという輪」を、ひとり一人に広げて頂けたらとお願い致します。知育徳育体育食育
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