委員会の活動 健康づくりを骨から始めましょう
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講演要旨

演題:高齢化社会と骨粗鬆症 
講師:金田 清志先生 (美唄労災病院院長・北海道大学名誉教授)
 今日のお話は、「高齢者の生活の質(QOL)の障害となる“骨粗鬆症”とはどういう病気か、それを防ぐにはどうすればよいか」です。日本は世界一の長寿国となり、平均寿命は女性が約85歳、男性は78歳で、女性が7年間長生きしています。しかし、21世紀の高齢化社会では、単に長生きするだけでなく、元気で長生き『健康寿命』を伸ばすことが課題となります。

 高齢者の生活の質を妨げる病気には、四大生活習慣病として高血圧症、糖尿病、高脂血症、肥満があり、その他に心臓病や呼吸器疾患、痴呆なども挙げられます。それに加えて今は、骨・関節などの障害で起きる腰痛、関節病、骨粗鬆症に基づく骨折、頸・肩・腕の痛み、などの『運動器疾患』がクローズアップされています。

 そして、今までの医学は命に直結する病気の研究が中心でしたが、これからは人間らしさを保つのに必要な運動器である骨や関節の疾患に罹らないよう、患っても治癒するようにという運動《運動器の10年》が、2001年からWHO(世界保健機構)の支援で展開しています。

 骨粗鬆症は、単に老化に因るだけでない骨の病気で、骨の量が減り・骨の組織の微細構造がこわれ、骨が脆くなって骨折しやすくなる病態です。骨折することが多い箇所は、
背骨の椎体圧迫、
股関節・大腿骨、
腕、
肩上腕骨
などであり、とくに大腿骨骨折では、家の中での転倒や階段での足の踏み外しが多くなっています。そして、高齢者が“寝たきり”になる原因は、第一が脳血管障害(約39%)、第二が骨粗鬆症(13%)であり、その他の関節痛、関節リウマチを含めると5人に1人が運動器疾患で寝たきりになっています。

 このように高齢者の生活の質の障害となる骨粗鬆症を予防するには、まず骨の成長期である20歳頃までに骨量を最大に上げておき、女性の場合であれば閉経期後に目立って下降する骨量を抑えるように努力することです。そして、
栄養状態の改善(栄養バランス、カルシウムの摂取など)、
運動の習慣化(骨に刺激を与えて骨の代謝を活性化させる)、
転倒しないように注意する、
定期的に骨密度の測定をして自分の骨量をチェックする、
などを実践することです。高齢者の生活の質を高め健康寿命を伸ばすには、運動器疾患を予防することが大切であるといえます。
[文責:木村 和治]

金田 清志先生 

美唄労災病院院長・北海道大学名誉教授

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演題:骨粗鬆症と食生活 〜カルシウムをもっと食卓に〜 
講師:高橋 セツ子先生 (酪農学園大学助教授)

骨は硬くて強く、壊れにくいものと思われていますが、骨も血液や皮膚と同じように「新陳代謝」をしており、毎日少しずつ生まれ変わっています。骨量(カルシウム)は20歳位までに最大値に達し、以後40歳位まで最大値を維持しその後は加齢に伴って減少します。したがって、最大骨量を獲得し、維持するには20歳から30歳頃までのカルシウムの摂取量がとくに重要になります。この年代で最大骨量を高めておくと、中・高年期からの骨量の減少に備えることができます。
 骨量を高める主な要因は、
カルシウムの摂取・・・・骨の主成分でありカルシウムの豊富な食品を毎日の食卓に、
ビタミンDの摂取・・・・カルシウムの吸収を促進する成分で、日光(紫外線)にあたると皮膚でも作れるので、30分程度の戸外での散歩が有効、
適度な運動・・・・運動で骨に負荷が加わると、骨細胞が活発になるのでカルシウムが骨に沈着しやすくなり骨が丈夫になるなどです。
無重力の宇宙では骨に刺激がかからず骨量が減少するので、宇宙飛行士は船内で自転車こぎなどの運動をしています。

 体内のカルシウムの99%は、骨や歯に貯えられ、残りの1%が血液の中や細胞にあります。カルシウムは骨や歯の形成に必要なだけでなく、全身の組織や血液中に広く分布し、体内の生理機能を円滑にするため神経のイライラや興奮の抑制、心臓の収縮やリズムの調節、出血時の血液凝固作用の補助、体液を弱アルカリ性に保持、酸素の働きの援助など、重要な役割を果たしています。血液中のカルシウムは常に一定の濃度に保たれていますが、食物からの摂取不足などで血液中のカルシウム不足が起こると骨の中のカルシウムで不足を補い、その結果骨量が減り障害が起こります。

 私たちが健康な生活を送るために必要とされるカルシウム量は、「日本人の栄養所要量(第6次改定)厚生労働省」に示されており、成人のカルシウム所要量は男子700〜600mg/日、女子600mg/日とされています。骨の発育が活発な成長期の子どもは一生を通じて最も多い700mg〜900mg/日とされ、妊婦・授乳婦では母体と胎児や乳幼児の発育に必要量が加算されて、それぞれ900mg/日、1100mg/日と定められています。また、高齢者は600mg/日ですが、閉経後の女性や骨粗鬆症の予防治療には800〜1000mg/日のカルシウムが必要とされています。

 カルシウムを多く含む食品は、牛乳・乳製品や大豆・大豆製品、小魚・海藻類、緑黄色野菜などが挙げられます。これらの食品の内、腸管でのカルシウム吸収率は、牛乳・乳製品が最も高く(約40%)、次いで大豆・大豆製品、小魚類(約33%)、野菜(約19%)の順であり、牛乳・乳製品はカルシウムの含有量が多いだけでなく吸収率も他の食品よりも優れています。食品を選ぶ時には単に100g中のカルシウム含有が多いだけでなく、その食品の1回食べる量からどれくらい摂取できるか、吸収率はどうか、どんな年齢層にも食べられるか、続けて摂れるかなどを考えることが必要です。そうした条件を満たしているのが、牛乳・乳製品といえます。

 強い骨をつるために常備しておきたい食品を挙げてみましたので、参考にしてください。

牛乳・乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズ、スキンミルク
魚介類 しらす干し、ちりめんじゃこ、干しさくらえび、煮干し
小魚の佃煮、魚水煮缶
海藻 ひじき、わかめ、昆布、のり
種実類 ゴマ、練りごま、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ
きのこ類 干ししいたけ、きくらげ
その他 切り干しだいこん、菊のり、かんぴょう、抹茶
 骨量を高めてそれを維持するには、それぞれのライフステージにおける骨量変化の特徴をよく理解することが必要でしょう。骨粗鬆症になりやすい条件を整理すると、以下のようになります。
女性であるここと、
閉経期以降、
加齢(年齢が進むと)につれて、
運動不足、
カルシウム不足、
喫煙、
高塩分摂取、
高リン酸摂取、
などですが、中でも食生活や運動などの生活習慣は、すぐにも改善が可能ですが、それを実践する効果は実に大きいとされています。

 最後に、「體(からだ)という字は、“骨が豊か”と書きます。文字通り骨が豊かな身体にするためには、今からでも遅くはありませんので、コツコツと骨量の増加を図り、豊かな高齢期を過ごしましょう。[文責:木村 和治]
※高橋先生にお話いただいた骨粗鬆症予防の料理は、骨の健康づくり委員会の〔骨を強くするレシピ〕でご覧になれます。
公開セミナーが紹介されました

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