「第3回骨の健康づくりセミナーinさいたま」
今から始めよう!骨の健康づくり

主催/サンケイリビング新聞社、骨の健康づくり委員会  協賛/雪印乳業
     
 
「第3回骨の健康づくりセミナーinさいたま」(主催/サンケイリビング新聞社、骨の健康づくり委員会)が開催され、約400人が参加し、骨の健康づくりと骨粗しょう症の治療について学びました。参加できなかった人たちのために、講演内容を抜粋して紹介します。
「第3回骨の健康づくりセミナー1nさいたま」は、800人の応募者の中から選ぱれた約400人が参加。2人の講師のスライドを交えたわかりやすい解説で、骨の健康づくりと骨粗しょう症の治療について学びました。
 また、セミナー後には、参加者の中から抽選に当たった200人を対象に骨量測定会も実施。測定結果をもとに相談コーナーで熱心に医師の説明に聞き入る人も多く、自分の骨の状態を知ることで、骨づくりの大切さに対する意識をより高めた様子でした。
後援/埼玉県、さいたま市、日本医師会、埼玉県医師会、大宮医師会、日本歯科医師会、埼玉県歯料医師会、(財)骨粗鬆症財団、産経新聞、ニッポン放送
協賛/雪印乳業
     
     
あなたの骨を守る栄養と運動
石見佳子さんの講演から
     
     

骨は、硬い皮質骨と海綿骨からなっています。女性ホルモンが低下する閉経後は、この海綿骨から減っていきます。一見、骨は硬くて静かな器官という印象がありますが、実はものすごく代謝が活発でアクティブ。破骨細胞が骨を削り、削られると今度は骨芽細胞が骨を作って埋めていく。
常に作り替えられているのです。閉経後は女性ホルモンが低下して骨を壊す骨吸収が骨を作る骨形成を上回り、骨が減ってしまい、骨折しやす<なります。これを閉経後骨粗しょう症といいます。
女性は20代で骨の量がピークに達します。若いころにあまり骨を作っていないと、閉経を迎えて急激に骨量が減ると一気に骨粗しょう症になってしまいます。
ですから若い人たちには、今のうちにできるだけ骨を作ることをおすすめします。骨は少々減っても痛くもかゆくもありません。でも、ある日突然骨折してしまっては遅いのですから、予防をしてほしいのです。

大豆イソフラボンが骨の健康に効率的
骨の形成に必要な栄養素の中で、日本人の摂取量が一番足りないのがカルシウムです。厚生労働省が定めた成人のカルシウムの栄養所要最は1日600ミリグラム。給食がなくなり牛乳の摂取量が急激に減る15歳〜29歳の女子では450ミリグラム前後と少なく、出産、閉経を迎えたときの骨の状態が非常に懸念されます。乳製品や小魚、海藻類、大豆製品などにはカルシウムが多く含まれています。中でも吸収率がいいのは牛乳です。野菜、小魚を食べながら牛乳を飲みカルシウムを効率的に摂取してください。ところが、高齢になると、カルシウム摂取量が増えても閉経後は骨密度は減ります。ではどうしたらよいのでしょうか。
骨粗しょう症の治療に女性ホルモンを使うことがありますが、私たちは、女性ホルモンに似たものを食品から摂取できれぱ理想的と、大豆イソフラボンに注目しました。大豆イソフラボンは、更年期障害を緩和する、骨粗しょう症罹患率を下げるなどの報告や、骨密度を高めるというWHOのデータもあります。イソフラボンは代謝が早く、摂取後6〜9時間をピークに24時間後にはほとんどなくなるので、毎日食べ続けることが必要です。
特定保健用食品で、骨の健康を保つ機能を持つものには、大豆イソフラボンやビタミンK2高産生納豆菌、MBP(乳塩基性タンパク質)などを使ったものがあります。

栄養プラス運動で骨を丈夫に
運動は糖尿病や高脂血症、骨粗しょう症などの予防に非常に効果があります。特に荷重がかかるウォーキングがお勧めです。閉経期に週3回・1時間、4年間ウォーキングをした人は、何もしていない人よりも骨の減少が抑制されることがわかりました。でも、運動だけでは骨の減少を完全に抑えることはできません。運動とイソフラボンを併用することで骨密度の低下を抑えることができるのです。"運動+カルシウム+大豆製品"を毎日心がけてほしいと思います。
骨粗しょう症の予防のための生活習慣
1 バランスのとれた食生活
2 カルシウムとビタミンDの十分な摂取
3 大豆製品の摂取
4 適度な運動と日光浴
5 過剰な飲酒・喫煙・ストレスを避ける



国立健康・栄養研究所食品成分機能表示研究室長
石見佳子さん
東京理科大学薬学部卒業。昭和大学歯学部、アルバートアインシュタイン大学医学部、三菱化学生命科学研究所を経て、94年から国立健康・栄養研究所勤務。
歯学博士。専門は栄養と骨代謝。
コラム
 
     
     
骨量検診と骨粗鬆症の治療
滝澤博さんの講演から
     
     
埼玉県では平成8年と平成13年の2回、膏量検診アンケートを実施。13年度の検診は、寝たきり予防、骨量の少ない人の早期発見、若年層対象に骨粗しょう症の予防などの目的で行われました。
測定器は大きく分けて3種類。腕の骨でX線を通して測る機械、かかとの骨に超音波を当てて測る機械、かかとの骨にX線を当てる機械(手の甲の骨を特殊な機械にかけて測るものも)。
これら簡易型骨量測定機器は、多くの人の中から骨量の少ない人を見つけるのに適しますが、結果は目安で、必ずしも正確とはいえません。一番正確なのは、テーブル型DXA(デキサ)という機械で、埼玉県には30台あります。
結果は正常者、要注意者、要精密検査者の3段階に分かれます。要精検者は、適切な医療機関に行くことが大切なのですが、埼玉県では検診が始まって5年たっても、医療機関の紹介などは、満足いく状態が整っていないのが実状です。

日常生活療法に薬物療法をプラス
骨粗しょう症は、危険因子(骨折歴・投薬歴・食事歴・運動歴・家族歴)、臨床症状(背中や腰の痛み・背中が丸くなる・身長が縮む・簡単に骨が折れる)、レントゲン検査(胸・腰椎・大腿骨頚部)の3つで診断、それに骨密度測定をします。
ひざ・肩・腰が痛い場合、ほかの病気であることも多いので、骨粗しょう症かどうかを整形外料でしっかり鑑別する必要があります。
治療には日常生活療法と薬物療法があります。閉経後骨粗鬆症の人には日常生活療法を主とし、必要に応じて薬物療法を、老人性骨粗しょう症の人には薬物療法を主とし、日常生活療法を行い、生活の質を高める治療をしています。
■日常生活療法  どのような病気か、どう進行するか、骨を丈夫にする方法、薬の副作用、服用を続けるための注意点などを指導します
■食事療法  食事内容のチェックと評価、カルシウム(800〜900ミリグラムが理想)、ビタミンD、タンパク質の摂取など、バランスのよい食事の指導をします
■運動療法  一人ひとりに合ったメニューを作成。腹筋・背筋・おしりのまわりの筋肉を強化する体操などを指導します。
■薬物療法  内服薬はカルシウム製剤、ビタミンD3製剤、エストロゲン製剤、イプリフラボン、ビタミンK2、ビスホスホネート製剤など。注射もあります。

今後は骨粗しょう症治療環境の充実を
西埼玉中央病院の骨粗しょう症ドックにおけるスタッフの役割は、整形外科医が入院の決定と診断治療の統括、婦人科医は女性ホルモン剤が使えるかどうかの診断をします。乳がんの検診は外科医、理学療法士は腰痛体操とスポーツ相談、管理栄養士は食事の調査と栄養指導、看護婦は日常の指導と教育を担当。一人の医師だけで治療をすることはできません。多くの専門家の連携が必要なのです。
日本人女性は閉経後10年たつと15%くらい骨が減っていきます。これが極端に減っていくのが骨粗しょう症ですが、1年に3%以上骨が減る人を特に注意して診ています。私どものドックに入るのはこういう人たちで、56、57歳の人には骨密度が2、3%増えた人も多<みられました。
ニューヨークの骨ドックは骨密度を測るだけで200〜300ドルもかかりますが、サービス機関が整っていて、栄養指導は初診130ドル・2回目以降75ドル、理学療法指導は初診140ドル・2回目以降86ドルと価格も決まっています。日本では骨密度測定は保険で3100円ですが、サービスはまだまだ。今後はこういった状況を整えていく必要があるでしょう。
 
 

国立西埼玉中央痛院整形外料医長
滝澤博さん
群馬大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院(現東京都老人医療センター)、虎の門病院整形外科主任医員を経て、98年から国立西埼玉中央病院整形外科医長
73年「骨塩分析装置」の輸入第1号機で骨塩定量を開始。92年「骨密度測定装置」QDR-2000の輸入第1号機を国立西埼玉中央病院に導入し、日本初の「骨粗鬆症予防と治療ドック」を開設。95年から埼玉県骨粗鬆症研究会事務局を担当。
専門は整形外科(関節外科、老人整形外科)

 


 

     
     
12月14日リビングサンケイ紙さいたま版に掲載