「第2回骨の健康づくりセミナーin 横浜」新都市ホールで開催
骨の健康づくりは毎日の生活習慣から

主催/サンケイリビング新聞社、骨の健康づくり委員会  協賛/雪印乳業
     
  7月28日、「第2回骨の健康づくりセミナーin横浜」(主催/サンケイリビング新聞社、骨の健康づくり委員会)が開催され、約400人がセミナーと骨密度測定会に参加し、骨の健康づくりの大切さについて学びました。セミナーでは、2人の講師がスライドを交えて楽しくわかりやすく骨の健康について解説。熱心に聞き入る人や質問をする人も多く、関心の高さがうかがえました。
夏休みに入ったばかりのセミナー当日は、1400人の応募者の中から選ばれたラッキーな400人が参加。骨の健康づくりの大切さと骨粗しょう症の予防について学びました。
また、会場では骨密度測定会も実施。相談コーナーで熱心に医師やスタッフの説明に聞き入る人も多く、自分の骨の状態を知ることで、骨づくりの大切さに対する意識をより高めた様子でした。
参加できなかった人たちのために、講演内容を抜粋して紹介しましょう。
後援/産経新聞、ニッポン放送、(財)骨粗鬆症財団
協賛/雪印乳業
     
     
骨粗しょう症とは?
−井上哲郎さんの講演から−
     
     

骨量を減らさないように栄養と運動で予防を
「私たちが若いころは、骨は硬くてほとんど代謝していないものと思われていました。が実は、骨は皮膚と同じように活発に新陳代謝を行っているということがわかってきました。背骨や長い骨(大腿骨など)の上下端は、小さな細い骨が詰まってそれぞれがつながっています(海綿骨)。そこでは骨の中でも代謝がさかんに行われており、いち早く増減します。
骨の量が減り構造の劣化が起こり、その結果骨がもろくなって骨折を起こしやすくなる全身性の病気、これを"骨粗しょう症"といいます」

原因は遺伝・老化・生活習慣(運動不足)
「骨の量を測ることができるようになってわかったことは、女性は45歳〜60歳ころに急激に骨量が減るということ。これは閉経を迎える時期で、女性ホルモンの減少と骨量の減少は密接に関係しているのです。
骨粗しょう症になる原因としては、遺伝的素質・老化のほかに、生活習慣、すなわちカルシウム摂取不足、運動不足などを挙げることができます。(図参照)。
牛乳を毎日2本以上「飲んでいる人は閉経後も骨量が多い。また、同年齢・同体重・同身長のサッカー選手とサラリーマンでは圧倒的にサッカー選手の方が骨量が多かったり、中学・高校で運動部に人っていた人といない人を比べると、明らかに運動していた人の方が骨量が多いという結栗も出ています。
カルシウムと運動は、骨の健康づくりに欠かせない大切な要素といえます」

転ばないようにすることが寝たきりの予防
「骨粗しょう症の症状としては背中がまるくなる、腰が痛いなどがありますが、無症状の人もいます。骨粗しょう症になりますと、背骨・腕の付け根・足の付け根・手首の骨などが折れやすくなります。寝たきりの原因は、脳卒中、心臓病の次に骨折が多く、特に立った高さからの転倒による足の付け根の骨折は、女性に非常に多いんです。寝たきり防止には転ばないようにすること。また、手足がしびれる人や、鎮静剤・眠剤を飲んでいる人は
転びやすいので、階段の上り下りに手すりを使うなど、普段から気をつけるようにしましょう。骨をたくさん貯めておけば減っても大丈夫。栄養(特に十分なカルシウムの摂取)、適度な運動、危険因子の排除を心がけ、しっかりと予防していきましょう。骨粗しょう症は、なる前に予防をすることが必要な病気なのです」



講師紹介
井上哲郎さん
浜松医科大学名誉教授、医療法人宝美会総合青山病院院長・副理事長。医学博士。
主な研究領域は骨代謝性疾患、特に骨粗しょう症、股関節外科、腰痛ほか。63年慈恵会医科大学大学院医学研究科修了後、東京慈恵会医科大学整形外科助教授、浜松医科大学整形科教授を経て98年から現職。日本骨代謝学会賞受賞。91年から骨粗しょう症財団副理事長。
92年〜97年有人宇宙技術研究交流委員会委員ほか

     
     
骨粗しょう症予防のための食生活
−江澤郁子さんの講演から−
     
     
発育時の子供とやせ志向は注意、カルシウムをきちんととることが大切
「體と書いて"からだ"と読みます。骨が豊かなのが体なんです。骨が豊かな体づくりをしましょう。
人間の骨は10代後半までに基礎が作られます。ですからその間にしっかりと食べて骨と体をつくることが重要。厚みのある骨をつくるためにカルシウムが非常に必要、ということです。
ところが、日本人は栄養素の中でカルシウムだけ必要摂取量がとれていない。特に、幼稚園・小中学校は給食の牛乳でカルシウムがとれますが、給食がなくなるころから摂取量はぐんと減ります。給食がある日とない日では特にカルシウムがとれる量が違うというデータも。
また、10代からのやせ志向は、きちんとした食生活ができていないので、骨粗しょう症予備軍として非常に危険ですね。ある12歳の女の子が36キロでダイエットを始め15歳で22キロまで減量しました。21歳のときに背骨がつぶれ、骨密度を測ったら平均の67%しかなかったという例もあります。」

牛乳の中にあるMBPは骨に重要な成分
「骨の健康のためにも食生活と生活活動量(運動)の改善が必要です。カルシウムを多く含む食品で、習慣的にとれるのは牛乳、乳製品です。特に牛乳が体にいいといわれるのは、牛乳に含まれるタンパク質や乳糖にはカルシウムの吸収を助ける働きがあるからです。
最近は骨をつくる細胞を活発にして減るのを抑える成分"乳塩基性タンパク質(MBP)"が牛乳の中から見つかりました。乳清の中にほんのわずかに含まれるのですが、このように牛乳の中には骨に関する大切な成分がたくさん備わっています。
食べ方は工夫しましょう。たとえば、牛乳・乳製品ならホットケーキをミルクで溶く、チーズをサンドイッチに。魚なら骨ごとつみれを作る、から揚げにすれば骨まで食べられる…などなど、いろいろ考えて工夫するのが頭の体操にもなりますからね」

毎日“コツコツ”無理をせず習慣づけること
「骨の健康には、運動をすることも大事。毎週体操をしている人は骨密度がなかなか減らないし、動きが機敏で転ばない。ひざが痛いという人は温水プールの中を歩きましょう。筋肉を動かすので運動量が上がり骨にも効果的。
知育・徳育・体育の中心に食育があるというのが私の考え。楽しい食事は身も心も豊かにする。毎日の食生活と活動的な生活を、個人のレベルに合わせて"コツコツ"と、習慣づけてください


江澤郁子さん
日本女子大学名誉教授・理事。医学博士。専攻分野は栄養学、特にカルシウム代謝。63年日本女子大学大学院修士課程家政学研究科食物・栄養学専攻修了後、85年同家政学部食物学科教授、96年同家政学部長・理事を経て02
年より現職。財団法人骨粗鬆症財団理事、財団法人日本食生活協会理事、日本家政学会会長、東京骨を守る会会長ほか。カルシウム代謝および骨粗鬆症予防研究で日本家政学会賞、日本栄養・食糧学会賞、日本農学賞を受賞。01年紫綬褒章受章