ジャズは体育会的芸術活動?    斉藤 孝司
 

さいとうこうじ

1969年 埼玉県生まれ 東京国際大学 事務職員
朝は毎日犬の散歩。夜はときどき音楽活動。JAZZの音と空気と精神を愛する青年(後期)サラリーマン。

 
 ジャズを本格的に聴きはじめたのは12年も前のことです。

 ジャズにはまると、自分も演奏がしてみたくなりました。演奏経験なんてないから、無謀な考えだったかもしれません。

 「音楽活動の経験がなかったけどさ、やってみたら、できたんだよ。」
20歳をすぎてから楽器演奏を始めた友人の言葉を思い出し、さらに練習環境が整っていることを確信したので、一線を踏み越える決心をしました。

 選んだ楽器はテナー・サックス。サックスはたて笛に似たようなものだろうから、ピアノ、ドラム、ギター、トランペットなどと比べると、慣れるのがはやいだろう、初心者でも大丈夫だろうという軽い気持ちで選びました。

 音が出て、曲らしいものが吹けると楽しいものです。練習にも身が入る。しかし、ある程度演奏できるようになると、壁にぶつかりました。「アドリブ」という壁に。ご存知の通り、ジャズは「即興演奏」がいのちであり、面白さなんです。けれどこの「アドリブ」が難しい。だって譜面が無いんですから。近代音楽は譜面にしたがって演奏するのが一般的です。ジャズも基本的にはそうだけど「即興演奏=アドリブ」の部分は例外なんです。でも難しくて、簡単に会得できないから、飽きっぽい自分にとってはとても楽しくて、10年以上も続けていられるのかもしれません。

 ジャズは20世紀アメリカ史と関わりが深く、禁酒法、第2次世界大戦、レコードの普及、黒人運動などからの影響を受けて発展してきました。ジャズが大衆化してきた1940年代から50年代にはモダン・ジャズ地代を築いた偉人が輩出されたのですが,酒、女、麻薬にまつわる逸話も多い。ドラッグの影響で悪い体調のまま演奏し、支離滅裂で不安定な演奏がそのままレコードとなって発売されたり,売れっ子でモテモテのジャズメンが愛人に射殺された、という具合です。

 ジャズはその歴史的背景や音楽そのものの複雑性、そして実際に演奏される空間や時間帯のためでしょうか、ジャズは“大人の音楽”というイメージが強いですよね?夜のジャズ・クラブというと、テーブルには酒、天井にはタバコの煙、ムード漂う“大人の場所”。清く明るい“健康的”というイメージを持つというひとはあまり聞いたことがありません。

 自分の話にもどりますが、サックスの練習の内容はというと、ほとんど基礎的な練習ばかりです。月に2〜3回しか練習できないので、いつまでたっても基礎的な練習ばかりなのです。スポーツと同じで毎日続けないと上達しないから仕方ありません。「もっとうまく演奏できたらいいなあ」と思いながらいつも練習しています。

 まとまった時間がとれたときには、3時間くらい休まず通して吹くこともあります。“短期集中”で吹きまくるので、軽い酸欠になることがあります。カラオケで歌いすぎたときのように、のどに痛みを感じることもあります。また、ひさしぶりの運動の後に筋肉痛になるように、サックスを吹いた後に頬の筋肉痛になることも。そんなときは、「体育会的芸術活動」だなって実感しますね。吹いた後のなんともいえない爽快感は、ジャズをやっているという楽しさを感じる精神的な部分と肉体的な軽い疲労感からくるものなのでしょう。普段の生活のなかでは、これが一番ストレス解消に役立っているかもしれません。