健康づくりを骨から始めましょう
       
     
  コラムバックナンバー      
         
  このコーナーでは前月までのコラムを紹介しています。
     
 
 

9月

その1 生島 ヒロシ ピンピンコロリで逝きたい!
その2 河田 照茂 歯と「いのち」
その3 二ノ宮 節夫 生活習慣病との戦い
その4 前田 憲彦 遺伝子は人の顔を造るが大人の顔は作れない
その5 細井 孝之 骨の健康と毎日の食事
     
           
    その1 ピンピンコロリで逝きたい!   〜生島 ヒロシ〜      
     僕は自他ともに認める大の健康マニア。いい健康法があると聞けば即効実践し、健康食品もとりあえず試してみます。そして数ある中から、自分の体質に合った長く続けられそうなものを取捨選択していくのです。月日と共に自然淘汰されていくといったかんじでしょうか。僕の場合は結局、手軽で手間なくできるものになってしまいますね。そうしないと続かないんです。でも何事も続けないと効果もでないし、意味がありませんからね。と、たんに怠け者な自分への言い訳ですが(笑)、しかし手間なくできる健康法や食事法で体調が改善するのは事実です。
バブル期に時代の波にのっておいしいものを食べ過ぎてしまった僕は、8年ほど前に痛風になってしまいました。足の指のつけ根あたりがキリキリ痛み出し、「やばいなぁ」と思うと同時に、仕事もバブル期の喧騒から一段落つき、今後の方向性を考えたとき、「まず自分自身が健康でなければならない!」と痛感したのです。
それから僕は少しずつ健康情報を集め始め、地味ながらコツコツと体質改善に努めました。洋食から和食に切り替え、お肉やプリン体の多く含まれるものは食べない。寝る3時間前からは何も食べない。適度な運動。そして健康食品からミネラルやビタミンを補給。こう書くとすごいですが、内情は80点主義。ほどほどにです。先ほども言いましたが続けることが大切ですから。
その結果、痛風の目安となる尿酸値は、薬の服用なしで3年で平常値に戻ったのです!!
これにはかかりつけ医も驚きました。それからは健康マニアの道をまっしぐら。今ではラジオ番組や雑誌・新聞などの取材で年間100人ちかくの医療専門家にお話しを聞く機会を得、ますます健康情報に磨きをかけています。
 僕の目標は、死ぬ間際まで元気で笑っていて、そして突然、何の苦しみもなく「コロリ」を逝く「ピンピンコロリ」です。そのためにこれからも僕のマニアは続きます。健康であるって楽しいですよ!!
     
   
著者近影1

生島 ヒロシ いくしまひろし
キャスター
1950年宮城県生まれ
カリフォルニア州立大学ジャーナリズム科卒業
1976年TBS入社、1989年独立
東北福祉大学客員教授、テンプル大学ジャパン主任研究員
「より良い介護保険に育てる会」委員
HP

     
       
 
マスコット犬トップに戻る
     
           
    その2  歯と「いのち」   〜河田 照茂〜      
    動物は自己の歯の寿命と生命(いのち)は運命共同体であります。現代の文明人は歯の治療学が進歩したお蔭で歯が全部抜けても入れ歯によって自己の身体を維持するために必要な栄養を摂取することができますが、歯の治療を充分受けることのできない国や民族の人々は自分の歯が口の中から消え去る時は自己の生命も遥か彼方の遠いところへ旅立つてしまう事になります。アフガニスタン、アフリカその他発最途上国の民族に正しい歯磨き方法を教えたら彼等の平均寿命が伸ぴると言われています。
オーストラリアの原住民は殆ど砂漠の大平原に生息しているため彼らの食生活は植物系では木の実、木の棄をそのまま食ぺます。動物(タンパク質)はカンガルー、トカゲ、ヘビ、ハチの巣などを熱い砂で蒸し焼きにして砂にまみれたまま砂と一緒に食ぺます。従つて歯は見事に摩耗して40歳頃になると歯の咬頭は完全に無くなり歯の形は三角状になり象牙質が露出しています。恐らく知覚過敏症になつていると思われます。
然し、彼らはその歯でよく食物をとりますが、歯はますます摩耗して歯冠部は殆ど無くなり小さな歯になつてしまいます。そして終に咬めなくなると仲間から離れて一人だけ置き去りにされて少しの食物が与えられてその場所を離れることなくそこで死を迎えるのであります。エスキモー人も同じような運命をたどると言われています。私どもは幸せなことに調理によつて柔らかい食物を摂るようになりましたが、象はサパンナで砂混じりの植物繊維を摺
り潰して餌にしているので長年の間に臼歯を摩耗させ、次々に歯を失い、摩耗した歯にかわって後方の臼歯が順次食物を粉砕する役を担いますが、だいたい50年ほどですべての臼歯が磨り減つて、食物をとることができなくなります。そこで象は老蓑することなく、餓死するといわれています。
因に、歴史上有名人の寿命を調ぺてみると、徳川将軍の平均寿命は50歳です。徳川慶喜は76歳、徳川家廉が74歳です。芭蕉は51歳、これらの人々は長寿型です。短命型では正岡子規は35歳、織田作之助は34蔑、高杉晋作28歳です。
今や、日本人の平均寿命は男子78.07歳、女子84.93歳で、日本は世界一長寿国になりました。この天寿を健廉で、楽しく、快適に全うするためには歯が健康であること、毎日の食事が美味しく、気持ちよく噛むことができることによつて
(1)味覚を刺敬して唾液や消化液の分泌を促進し、消化管における食物の消化・吸収を助けます。
(2)口腔の諸組織の血流をよくして健康を保持します。
(3)大脳の中の血流もよくなり大脳の若さを永く保持することができます。
     
   


河田 照茂  かわたてるしげ
徳島大学名誉教授
河田矯正歯科医院院長
1930年大阪市生まれ
大阪大学大学院卒。徳島大学歯学部矯正学教授
徳島大学学生部長、歯学部長、日本矯正歯科学会理事
顎変形症、顎顔面のバランスと歯の移動の開拓者の一人。
「歯学部学生のための歯科矯正学」など専門書多数。
     
       
 
     
           
    その3 生活習慣病との戦い     〜二ノ宮 節夫〜      
     成人病が生活習慣病と言い改められて久しく、すでにすっかり国民に定着した言葉となりました。生活習慣病とは言い得て妙であるが、その中には極めて皮肉たっぷりな意味が封じ込められています。すなわち、生活習慣病とは生活悪習慣病の意です。豊かさがもたらした過食、アメリカンインディアンから教わった喫煙の悪癖、移動手段の発達に由来する運動不足、等々から生まれる不具合といえます。
 喫煙の習慣を西洋人に教えたアメリカンインディアンを難詰するのはお門違いです。彼らはコインを入れれば、いくらでも完成品のタバコが出てくる自動販売機など所有していなかったのです。手間暇をかけて、たばこを造り、刻み、その苦労から大事に大事に吸っていたのです。筆者もご多分に漏れず、20歳時から平成元年8月2日まで、30年間喫煙していました。20歳で喫煙を始めたのは成人の証しという、すなわち、極めて低レベルな発想から生まれたものです。喫煙を止めた日は忘れもしません。
 比較的こじんまりとした病院に入院し、知り合いの外科医の執刀で開腹手術を受けました。同様にタバコ好き先輩の外科医にたしなめられました。 「せめて、手術の3日前には喫煙を控えて手術に備えて下さいよ。全身麻酔ですので、術後、痰の咯出に苦労しますよ 」。ところが、手術の前夜に個室とはいえ、病棟では喫煙出来ませんので、病院の医局にでかけていき、全身麻酔の手術ではこれが末期のタバコともなり兼ねないと、深々と一服いたしました。
 術後5〜6日、夜間もう医師は誰もいない医局にこっそりと、前屈みで腹を手で押さえながら階段を降りていきました。一服つけたそのタバコのまずさに愕然としました。後頭部をなぐられる思いでした。その日から何の苦労もなく、楽々と禁煙できたのです。ニコチン中毒なので禁煙は難しいというのは単なる言い逃れでした。
 日常的な運動の機会はなかなかないので、2年前よりダイエット、すなわち、食事摂取量を半分にしました。長年の血清検査の数々の異常値が全て正常域に入りました。驚くべきことです。まさに恥ずべきことでした。
     
   
著者近影
二ノ宮節夫  にのみやせつお
埼玉医科大学整形外科教授 
東京大学医学部卒業、
関節軟骨の生理,変形性関節症の病態,
特発性大腿骨頭壊死症の疫学・病態,
股関節外科,手の外科
     
       
 
マスコット犬トップに戻る
     
           
    その4 遺伝子は人の顔を造るが大人の顔は作れない  〜前田 憲彦〜
     
     ヒトを含む哺乳類は、親とほぼ形の似た顔を持つ赤ん坊を生む。翻せば、親とは完全には顔の形が同じではない子供を生むということである。それが、どのようにして大人の形になっていくかについて、少し考えてみよう。
 いくら栄養状態を変えようとも、チンパンジーの頭の骨はヒトの頭の骨にはならない。遺伝子によって何になるかの方向性は決定されているからきわめて当たり前のことである。しかし、乳幼児の顔の形が全体的に丸みを帯びていることはすべての哺乳動物に共通しており、親の愛情を得るために重要であることがわかっている。この乳幼児に特徴的な丸い顔は、成長とともに長手の、いわゆる大人の顔になる。これは、脳の入っている脳頭蓋という部分の発達に対して、顎の部分の発達が相対的に大きいことによる。
 ところで、顎を含む骨の発達には多くの生理活性物質や栄養が重要なことは周知の事実になっているが、遺伝子や栄養は、大人の骨の形が出来上がるための、必要かつ十分な条件といえるだろうか。実はそうではない。遺伝子によって方向づけされ、十分な栄養を保証されて成長を続けるチンパンジーやヒトの顎の骨が大人の形になるには、正常な咀嚼運動によって顎の骨の細部に加えられる適度な力が必要なのである。つまり、遺伝子は方向性を決めるが、決して万能ではないことを十分に認識することが必要である。大人になれば自分の顔に責任を持てとは、昔のヒトはよくぞ言ったものである。
 余談ではあるが、デイズニーのミッキーマウスの顔が創立当時から徐々に変わってきているのを御存じだろうか。
初期の丸く可愛らしい形は、その印象を残しながらも面長の大人の顔になっている。さすがにアメリカ人である。動物の成長を意識して、時代とともにミッキーマウスの顔の形を変えていくという科学的かつ合理的手法と、長期的計画には脱帽する他ない。まさか、咀嚼の重要性までは意識してはいなかったと思うのだが、どうであろうか。
     
   

著者近影1
前田 憲彦まえだのりひこ
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 
病態制御医科学講座
昭和22年徳島県生まれ
東京農工大学農学部獣医学科卒業
日高敏隆氏の研究室で動物行動学を学ぶ。
その後、城西歯科大学、福岡歯科大学、明海大学を経て
現在広島大学歯学部教授
京都大学理学博士(ヤマメの攻撃行動の研究による)
     
       
 
マスコット犬トップに戻る
     
           
    その5 骨の健康と毎日の食事   〜細井 孝之〜
     
    私たちの身体はもちろん、心もカルシウムを必要としています。心といっても抽象的なものでなく、精神・神経機能を指します。このため、血液中のカルシウムは一定の濃度である必要があります。
 我々陸上生物の遠い祖先が海の中で暮らしていたころは、身の回りにはカルシウムが豊富で、余分なカルシウムを体の外に追いやる仕組みが必要でありました。ところが、陸上の生活ではそうはいきません。カルシウムを得るためにはそれを含むものを食べなければなりません。それも始終食べてはいられませんし、食べすぎたときの調節も必要です。
 そこで活躍してもらわなければならない3つの臓器が登場します。骨と腎臓、そして腸です。骨はカルシウムを蓄積し、必要に応じてそれを放出します。腎臓では余分なカルシウムを排泄したり、不足の時は一旦できた尿からとりもどします。腸は食物からのカルシウムの入り口ですが、体内の状況に応じて吸収度合いを調節しています。
 このような器官がさまざまなホルモンの調節を受けながら、身体のカルシウム環境を整えてくれます。その反面、カルシウム摂取不足になると、容赦なく、骨に蓄えられているカルシウムを溶かしだして利用する仕組みでもあります。
 心身をカルシウム不足にしないように、まさに「骨身を削る」仕組みです。骨の健康にはカルシウム以外にもさまざまな栄養素が必要ですが、基本はやはりカルシウムです。乳製品、大豆製品、緑黄色野菜、小魚などから、しっかりとりましょう。「(海にいた)昔はよかった」と感じながら。
     
   
細井 孝之ほそいたかゆき
東京都老人医療センター内分泌科医長                    
 hosworld@athena.ocn.ne.jp
老年医学の立場から骨粗鬆症の予防や治療に取り組んでいる。
骨粗鬆症の原因遺伝子に関する研究も続けている。
     
     
1 2 3 4 5
     
     
topに戻るマスコット犬
     
     
コピーライト